術後の経過
術前に必要な書類の記事にも書きましたが、手術を受ける前に術後に発生する可能性のある後遺症や、感染症などの説明を受けてから手術を行います。

例えば、従前の同意書にはこんなことが書かれています。
静脈麻酔の下、手術を行います。
このくらいの時間がかかります。
以下の症状や後遺症が現れる可能性があります。
- 痛み、出血、腫れ、内出血、嚥下痛
- オトガイ部、下唇のしびれ感や麻痺感、舌のしびれ感や麻痺感
- 口角炎(口の横が切れたりする)
- 開口障害
- 治癒不全や術後感染
- 上顎洞と交通の可能性
私が実際に手術を受けた後、どんな後遺症や問題が起きたのかを書いておきたいと思います。
手術直後の後遺症など
私が手術を受ける前に歯、特に下顎の埋没型親不知の状態を確認するために、レントゲンやCTスキャンを撮って検査しました。

上顎の歯は、一般的な歯と同じように生えていて、下顎の歯は前方に向かって生えている埋没型親不知でした。また埋まっている位置が悪く右下の親不知は顎の骨の内部を通っている下顎の神経や血管などが通っている管に接しているという悪条件でした。
手術直後
手術直後は、歯を抜いたこと、歯を抜くために切開していることもあり、傷から出血があります。また歯茎の中でも内出血もあります。数時間は塗った傷口などから血が出るので、その血を止めるためにガーゼなどで止血を行います。また長い時間口をあけていた影響で、口角炎、つまり唇の端が切れてしまうことがあります。
麻酔が切れてくるにつれて、傷口は腫れ、徐々に痛みも出てきますし、翌日以降は歯の埋まっていた周辺が腫れてくるので、嚥下痛、つまり唾を飲んだりするだけでも痛みがあります。また、麻酔が切れるにつれて、下唇などの痺れがなくなっていきますが、まれに下顎の神経が圧迫されたり、傷ついたりすることで「オトガイ部、下唇のしびれ感や麻痺感、舌のしびれ感や麻痺感」が残ることがあります。私もとても不安でしたが、幸いこれらの後遺症は残りませんでした。
医師から説明を受けた限りでは、この麻痺には2種類あり、手術中に顎の骨の中を通っている神経を傷つけてしまった場合と、手術によって神経が圧迫された場合の2種類の痺れがあるそうです。
神経を傷つけてしまった場合、ビタミン剤などで多少回復するもののその痺れは一生残る可能性が高いようです。これは手術経験の多い、大きな病院の口腔外科であれば発生する確率は低いようです。
神経が圧迫されてしまった場合、これは手術では起こりうることで、特に私のように埋没型親不知が神経の管に接している場合、手術中に歯にかかった力によって、神経が圧迫されて、まるで正座をした後の脚の痺れのように、一次的な痺れが残ることがあるそうです。
これは正座時の痺れのように短期間では解消せず、術後数ヶ月かけて回復するそうで、ビタミン剤の投与によって、その回復を促進するのだそうです。神経が圧迫されて起きた痺れの場合は、ほぼ違和感のない状態まで回復が見込めるようです。(ビタミン剤にほとんど効果がないという話もありますが…。)
上顎洞と交通の可能性
私の場合は上顎の親不知は、一般的な歯と同じように生えていたので、引っこ抜くだけで済みましたが、深いところに埋まっているような場合は、鼻の気道と口の中がつながってしまうことがあります。これが上記の「上顎洞と交通の可能性」です。
穴が小さければ自然に穴はふさがっていきますが、穴が大きく自然にふさがらない場合は、再手術で穴をふさぐ必要があります。私の場合は浅かったので、気道とつながることもなく、穴も少しずつふさがっていきました。2~3ヶ月ほどすると、歯のあったくぼみもほとんど気にならなくなりました。
開口障害
私の場合は下顎の親不知が深いところに埋まっていたこともあり、この開口障害にはしばらく苦しみました。下顎の深いところに歯が埋まっているので、下顎の歯茎を切開し、親知らずを覆っている骨を削り、埋まっている親不知を砕いたり切断して分割した後、取り除きます。
このとき歯茎の奥に傷が出来るために歯茎が大きくダメージを受けて腫れてしまいます。その腫れを小さくするために術後すぐにバンドで固定しますが、どうしても腫れは残ってしまいます。
歯茎が大きく腫れると口を開くときに動く顎関節が動くスペースがなくなり、顎を開くことが出来なくなります。顎関節を動かさなくても開く約1~2cmほどしか口が開かなくなり、腫れが引くまではその状態が続きます。これは私の場合2週間以上続き、完全に違和感がなくなるのに1ヶ月ほどかかりました。
術後の経過
退院
手術が終わって、4泊5日の入院から退院したあと、抗生物質と痛み止めの薬を4日分処方され、指示されたとおり抗生物質を飲み、痛みはあまりなかったので痛み止めは1錠しか飲みませんでした。
退院から1週間目
1週間後、状態を確認するために再び病院へ行き診察を受けましたが、このときもまだ開口障害は残ったままで口は2cmほどあけるのがやっとというところでしたが、10本の糸の内9本を抜糸し、また翌週診察を受けることになりました。
退院から2週間目
それから1週間の間に見た目は腫れはほとんど引いたように見えましたが、どうも左下顎の腫れが完全に引かずに開口障害から回復しないまま次の診察日になりました。
診察を受けて、取り除いた残った1本の糸を抜いたあと、患部の状態を確認すると左下顎の手術のあとが少し化膿しているという診断で、ヨード系の消毒液を手術跡の隙間から先がL字型になった注射器で流し込み、消毒を行いました。これが術後感染です。また抗生物質を4日分処方されて、1週間後に診察を受けることになりました。治癒不全の場合、再手術をして患部を取り除くということもあるそうです。
退院から3週間目
ヨードの消毒液と抗生物質の服用によって、化膿した患部の腫れは引き、開口障害も回復して100%口が開くようになりました。これで完治ということで問題ないでしょうという判断になり、この日が最後の診断となる…はずでしたが…。
100%開くようになった口はしばらく動かせていなかったこともあり、最初は開いた後に少し痛みがありました。無理をしないで少しずつリハビリしたほうがよさそうです。
退院から6週間目の翌日
最後の診断となるはずだった3週間後、事態は急変しました。左下顎の手術をした親不知のあった歯茎と一つ前の歯の間に食べ物が詰まったような感覚があって、それを爪楊枝で取り除いたのですが、夜になると歯茎が腫れてしまい、寝る頃には手術直後のように腫れてしまっていました。また化膿してしまったようです。しかしこの日は土曜日だったため、すぐに病院へ行くことができずに翌々日となる月曜日に口腔外科へ診察を受けに行くことになりました。
退院から6週間と3日目の月曜日
朝一番で口腔外科へ行き、診察を受けました。診断は手術跡の化膿ということでした。またヨードによる消毒と抗生物質、胃薬を処方されて、また金曜日に診察を受けることになりました。
退院から7週間目
ヨードの消毒液と抗生物質によって、腫れは引いて正常な状態に戻りました。診察の結果も問題なしということになり、手術から50日かかってようやく完治となりました。
口腔外科で最初の診察を受けてから3ヶ月が経過していました。
アレルギー症状は?
親不知を抜くのが目的ではなく、アレルギー症状の改善が目的で親不知の抜歯手術を受けましたが、歯の中で起こしていた炎症を取り除くことによって、ほほに出来ていた肌の慢性的な炎症はなくなりました。
症状の改善には一定の効果があったのは確かですが、根本治療にはならずまた別の治療を行うことになりました。
それについてはまた別の記事に書いていきたいと思います。
by secretariat


コメント