退職を考えて…
あまりに体調不良を抱えて苦しい状態が続いたので、友人の勧めでカウンセリングを受けることにしました。
そこで言われた「本当にやりたいことをやってないんじゃないの?」と言う一言にショックを受けて、私は「退職」と言う決断をすることを考えていました。

有給休暇がなくなって…
すでに体調不良のために休みを取りすぎていて、それでも続く体調不良に精神的にも参っていたのだと思いますが、年末に風邪を引いてしまい、もう半日しか残っていない有給休暇では足りなくなってしまいました。
以前、先輩がドクターストップや手術などで会社に出勤できない状況になったときに話していた「傷病欠勤」の制度を思い出しました。
通常会社であれば、就業規則の中に休暇について定めてられいて、労働組合やホスピタリティが充実している会社であれば、傷病による休暇、介護や出産子育てなどの際に取得できる休暇や休職などの制度があります。
その中に私の会社では病気になった際の規則として以下のようなものがありました。
就業規則の休暇の項
私の勤めていた会社では、病気による休暇を取得する場合、まず4日までは有給休暇を使い、5日目以降は、ヘルスケア休暇を使い、ヘルスケア休暇を使いきった場合には傷病欠勤とする制度がありました。
ヘルスケア休暇
労働者が私的な負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合に、病気休暇を○日与える。
休暇の制度は、労働基準法で定められているもの以外に会社が個別に定めているものがありますが、私の会社では以下のようなおおよそ規則になっていました。
有給休暇は、皆さんご存知のとおり社員の権利として有給でお休みできる制度です。
ヘルスケア休暇は、私の勤めていた会社では、過去に取得し切れなかった有給休暇を緊急時に使える休暇としてストックしておく制度があり、医者の診断書が必要となります。(私の場合は4日程度ありました。)
傷病欠勤は、ヘルスケア休暇が残っていない場合に、医者の診断書があれば、無給で休暇が取得できる制度で、建前上人事の査定には響かない欠勤として扱われました。
私は有給休暇も病気休暇も使い切っていたので、医者の診断書をもらって、傷病欠勤を取得しようと考えて、就業規則を読んでいたのです。
幸いこの欠勤制度のおかげで、人事査定には響かない範囲でお休みすることができましたが、大切なのはその先に書いてあったことです。
第○条(休職)
1 従業員が、次の場合に該当するときは所定の期間休職とする。
①私傷病による欠勤が○ヶ月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないと認められたとき(○年以内)
②前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認めらたとき(必要な期間)
2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、もとの職務に復帰させる。
ただし、もとの職務に復帰させることが困難であるか、又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。
3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治ゆせず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。
法律に関して私も細かいところまでは把握できていませんので、法律について詳しいサイトをご欄いただきたいと思いますが、大まかにいえば、医者が病気の療養のために休養が必要だと判断した診断書があれば、就業規則に定められた範囲で、休暇を取得することが可能だと言うことです。
医師への相談、上長への相談
私は、アトピー性皮膚炎の症状やそれ以外のアレルギー症状に加えて、服用していた薬の副作用(倦怠感や眠気、めまいなど)にも苦しんでいて退職を検討していたほどだったので、当時の主治医に相談をしました。
医者がそれを認めてくれるかどうかはその医者の診断やポリシーにもよるところが大きいので、相談の仕方も大切です。
医者には
「しっかり治療に取り組んで回復させた上で、ちゃんと仕事がしたい」
という前向きな意思が伝わらなくてはいけません。会社側、特に上長は突然社員に長期休暇に入られてしまうと仕事のやりくりに困るので、迷惑をかけないようにできる範囲で休む準備をするつもりがあると伝える必要があります。
私は医者には、
「数ヶ月休職をして療養できる環境を整えたい、服用している薬を飲まなくても済むレベルまで回復させて、本来の仕事ができる状態にしたいので診断書をもらえないでしょうか?」
と相談しました。医者に了承がもらえてからは、会社で上長に
「薬の副作用が強くて業務に差し支えるので、薬を服用しなくて済むようになるまで数ヶ月間休職させてほしい」
と相談した上で、休み始めるまでの引継ぎやマニュアルなどの準備、その後の体制について私ができる範囲で資料やノウハウを残して休みに入ることを説明して、上長も私が苦しんでいることは理解してくれていたので、了承してもらいました。
しかし、休職をするというのは人事査定には影響があります。出世などを考えたときには必ずマイナスに働くので、その覚悟は必要です。私は回復にいつまでかかるかわからない状況だったので、復職だけではなく退職も念頭においてこの決断をしました。
気になるお金の話
会社を欠勤、休職すれば、当然会社は給与は支払わなくなるのが一般的ですが、まったく収入がなくなるというわけでもありません。
欠勤や休職期間に支給されるお金については大体以下の3つの支給から一番金額が高いものになるようです。(複雑な組み合わせで支給される場合もあり。)
- 会社から支給される給与
- 健康保険組合の傷病手当金
- 会社から支給される傷病手当金
社員への保障の厚い会社であれば、医者の診断書がある長期欠勤の間、数ヶ月間は基本給を支払ってくれる会社もあります。私の所属していた会社では傷病欠勤期間は基本給を全額支払ってくれる会社でした。
会社から給与が支払われなくなった場合にも、健康保険組合に所属している場合は、要件を満たせば給与額の一部に当たる金額が、「傷病手当金」として支払われます。必要な要件は以下の2つです。
- 「傷病手当金請求書」(医者の診断書と休暇理由などを示した書類)の提出
- 「傷病手当金請求に伴う状況報告書」(※医師の署名が必要で有料)
私の場合は、この書類を会社に提出し、会社から保険組合へ提出され、一定の審査を経た後、手当金は会社へ振り込まれ、税金や厚生年金などの金額を差し引かれた額が支払われました。給与明細にその内容は記載されていました。
細かい規則は実際に自分が所属している健康保険組合のHPなどで確認していただきたいと思いますが、私の場合は以下のような金額が一定期間支払われました。
- 支給期間:18ヶ月(申請日から)
- 支払われる金額:休業1日につき標準報酬日額の3分の2
この計算には標準報酬日額という、ルールに定められた金額で計算されます。細かい計算方法は複雑なので割愛しますが、大体基本給の6割くらいになると思います。これは労務不能と医者が判断している場合に限り、会社を退職しても同じ期間支給を受け取ることができるようです。(退職した場合は、支払いは会社を経由しなくなると思います。)
所属する会社の就業規則次第ですが、一般的な企業はこの18ヶ月間ほどの間に復帰できなければ、解雇することになると思います。
まれにこの期間よりも長く休職期間を定めている場合があり、その場合は18ヵ月後、「傷病手当金」の支給が止まると、会社側が「傷病手当金」を支給してくれる場合があります。私の場合は基本給の5割ほどでした。
私の場合を例に、標準報酬日額を25万円と仮定して実際に支払われる手当を示します。
- 傷病欠勤期間:有給4ヶ月→基本給全額(25万円×4=100万円)
- 休職期間:健康保険組合からの傷病手当金 18ヶ月→基本給の6割(25万円×0.6×18=270万円)
- 休職期間:会社からの傷病手当金 4ヶ月→基本給の5割(25万円×0.5×4=50万円)
傷病休職をフルに利用して復職、もしくは退職したとすると合計で420万円(税金などが差し引かれるので手取りはもっと少ない)が支給されることになりました。一般的には基本給全額支払われることはあまりなさそうなので、おおむね基本給の6割が支払われ、税金や厚生年金への支払いが差し引かれて、4~5割程度の金額が毎月支給されることになります。
病気で働くことができなくなって退職することを覚悟していた私としては渡りに船で、働くことができない間のお金に対する不安は、大きな懸念一つでしたし、回復して働くことができるようになるまでの猶予を得ることができたのはとても助かりました。
医療費もかかりますし、家賃や光熱費、通信費などを考えると、この金額で生活をするのは確かに厳しいかもしれませんが、体を治すこと、ちゃんと働くことができる体にすることが大切です。
私は幸い貯金もあり、実家暮らしだったので、手当金がなくても生活していくことはできたかもしれませんが、この制度を活用して休職することにしました。
ただ転んでもただでは起きません。この休職期間でしっかり体を治して、かつできた時間を有効に活用することを目指しました。


by secretariat

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